無職からスタートしてみた③

教員採用試験は夏に行われる。それに向け、勉強に励んでいた。

そんなある日…

いつも通り仕事に向かい、予定を確認する。その日、恩師が働く特別支援学校に迎えに行くスタッフが休みになり、急遽、自分が行くことになる。

学校に到着し、子どもと先生、他の福祉施設職員が入り乱れる。足早に来るままで移動する子、連絡事項を伝える先生の姿がある。

そんな中……

「あ、いたかも……あれかな。」眼鏡をかけ、颯爽と歩くあの日の先生がいた。

緊張で手が震える、鼓動も早くなるのを感じた。一緒に迎えに行ったスタッフに声を掛ける。
「すいません。関係ないんですが、あそこの先生が小学校の時の担任の先生で……少し話してきていいですか?」
聞かれたスタッフは驚いて、どうぞと言ってくれた。

「あの……○○先生ですか?○○小学校の時に教えてもらった○○です!」
思いきって声を掛けてみた。数コンマの間がとても長く感じた。