サバンナの夜明け②

元々、私が教師を目指した理由は小学校の時の担任の先生が大好きだったから。放課後、友達と校庭でサッカーや、キックベースをして遊んでいると、職員室から降りてきて、一緒に遊んでくれた。

その先生は採用されてから、2年目だったこともあり、とにかくパワフル。
体力測定でソフトボールをした際、見本で先生が投げることに。ボールを拾うため、子どもたちが、「この辺に飛んでくるだろう」とポジションにつく。
先生が大きく振りかぶって投げたボールは自分たちのはるか上を越えてポトリと落ちた。大歓声。
そんな素敵な先生だった。今でも沈む夕日の中、一緒に遊んだ記憶は今でも覚えている。

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あれから、15年、「先生、どこにいるんかな…。楽しかったな。あんな先生に俺はなれないのか…」そんな事を家路の車の中で呟く。

12月、私はなりたくて、なりたくて仕方がなかった教員を辞めた。いや、学級崩壊とうつにより、正確にはクビだった。教師の1年目はあくまでも、条件つき採用。1年目に能力を見定められて、問題なければ、2年目から本採用される。

ただ、自分は夜もなかなか寝れず、睡眠不足の日々。朝日にげんなりし、学校に車を走らせると腹痛と吐き気。まともに仕事が出来る体ではなかった。
結局、新任だった私は辞表を提出することとなる。
もうその頃からの記憶が断片的にしかない。出勤最終日、子どもたちに別れの言葉を伝え、先生方に見送られて学校を去った。

気がついたら、車のハンドルを握り昔の先生の事を思い出していた。寂しい年の暮れだった。